団地のゴミ屋敷問題にうんざり。過去のケースや改善策をご紹介!

ゴミ屋敷 団地

公営団地は賃貸物件であるため、お部屋の状態は常に綺麗な状態に保たなければなりません。しかし、そのような場合にも、お部屋の片付けを行わずにゴミ屋敷になっているお部屋も存在します。

こちらでは、過去に公営団地で起こったゴミ屋敷問題を元に改善策についてご紹介いたします。

公営団地がゴミ屋敷になってしまう原因は?

公営団地がゴミ屋敷になるケースは珍しくありません。様々な原因がありますが、主な理由として以下が挙げられます。

高齢者が多い

平成28年度の国土交通省のデータによると、公営団地の住居者の59.8%が60歳以上の高齢者世帯であることが発表されています。高齢者になると、若年、中年層に比べ、体力的に衰えてくるため、ゴミ出し自体が重労働になってしまいます。その結果、お部屋のゴミを片付けることができず、最終的にゴミ屋敷となるのです。

高層階である

続いて、高層階による例です。公営団地はマンションのように、各階にゴミ出し専用のスペースがないため、高層階の方々はゴミ出しが億劫になります。そのことから、ゴミを片付ける頻度が減り、お部屋にゴミが溜まってしまいます。

単独世帯の増加

単独世帯が増えていることも原因です。とある地域では、団地入居の問い合わせの4割が単独世帯であるというデータもあります。ゴミの分別からゴミ出しまで単独で行うため、正しい分別が行えず、戻ってきたゴミを溜めてしまうことがあるようです。また、夜勤帯でお仕事をされている方は、勤務時間とゴミ出しの時間が重なってしまうケースもあります。そうなった場合には、物理的にゴミ出しが不可能となるため、お部屋にゴミを溜めてしまうことがあります。

実際に2021年に調査された内容で、60歳以上の68.5%の方がゴミの片付けができない悩みを抱えているという発表がありました。さらに、ゴミ屋敷問題を抱えている方の57.1%が1人暮らしをされているというデータからも、上記の原因が分かります。

公営団地がゴミ屋敷になった場合の危険性は?

ゴミ屋敷になってしまった場合には様々な危険性があります。例えば、以下のようなことが考えられます。

害虫やカビによる身体的な被害

ゴミ屋敷は不潔というだけではありません。ゴミが溜まることにより、火が燃え広がりやすい環境になるため、火事の危険性が高まります。また、ホコリやゴミがコンセントに溜まることによる火災事例もあります。

実際に2015年には、愛知県に存在していたゴミ屋敷から出火し、近隣の住居を合わせて2棟が全焼した例がありました。
その他にも、2017年に神奈川県で建物6棟に被害を及ぼした火災も発生しています。

これらの2件はいずれも周辺住宅を巻き込んでしまう火災でした。火事は、ご自身だけではなく、近隣住民の命をも脅かします。特に団地は一戸建てに比べ、距離が非常に近いため、ゴミの片付けは確実に行わなければなりません。

ゴミが溜まることによる火災

掃除を定期的に行わなければ、ゴミによる害虫の発生だけではなく、ホコリも同時に溜まります。電気のコンセントにホコリが溜まってしまうことや害虫によって室内のケーブルをかじられることで火災になる恐れがあり、非常に危険です。

また、溜まってしまったゴミに引火した場合には、火がさらに大きくなり、近隣住民の方も含め多くの命が危険に晒されてしまいます。仮に建物で火災が起こってしまい、命が助かった場合にも建物のリフォームや建て直しが必要となるため、ご自身だけではなく、近隣住民の方にも多大な影響を及ぼします。

団地がゴミ屋敷になった場合の罰則は?

団地や賃貸がゴミ屋敷化してしまうと、近隣住民からの苦情が増えます。苦情を申し立てた場合でも解決に至らないことや長期化してしまうことが多いのが現状です。

解決に至らない理由として、苦情後すぐに自治体や不動産会社がゴミを片付けることは、ゴミ屋敷の住人の所有権を侵害してしまう恐れがあるためです。そのことから、最初の段階では、ゴミ屋敷の住民に向けての注意や現状の確認の調査を行うことしかできません。注意のみでゴミを片付ける可能性は極めて低いため、ゴミ屋敷の改善はかなり厳しいものとなります。

しかし、団地や賃貸は個人の所有物ではありません。注意を受けてから長期間片付けを行わなければ、最終手段として自治体がゴミ屋敷清掃業者と連携して強制撤去が行われます。この強制撤去を行う際の作業費用は全額、ゴミ屋敷の住人が払わなければなりません。

実際に2018年に神奈川県で強制撤去が行われた例もあるため、長期間ゴミを片付けない状態は近隣住民の被害だけではなく、ご自身の身体的・金銭的負担を大きくすることになります。

ゴミ屋敷の改善を行うためには?

ゴミ屋敷の改善は長期的な問題になるため、根気が必要です。直接、ゴミ屋敷の住人の説得を行っても、素直に片付けてくれる可能性は低いでしょう。それだけではなく、ゴミ屋敷の住人と険悪な関係になってしまう場合もあります。

そのため、改善するには自治体や保健所など行政機関に連絡を行い、ゴミ屋敷についての状況を認識してもらうことが大切です。行政機関を巻き込んで動いた場合には、一定の期間内での片付けを行わなかった場合に強制撤去が可能になるため、口頭の説得よりも効果があります。

強制撤去される前に…

近隣住民から苦情が出ている場合には、早急の対処が必要であるため、業者に依頼を行うべきです。業者に依頼する際には料金がかかりますが、短期間で確実に綺麗にすることができます。お部屋の広さにもよりますが、広いお部屋の片付けで最大70万円の料金が必要となります。かなりの大きい金額であるため、金銭的負担が大きくなりますが、料金を安くするための工夫は可能です。

不用品の中から、価値があるものを買取ってもらう

中には貴金属や骨董品など価値がある物を買取ってくれる業者もあります。そのため、作業費用が大きい場合には、可能な限り買取ってもらうことで、料金を抑えることができます。

自分で片付けできる範囲は自分で行う。

水回りや害虫駆除、消臭など、業者のみでしか対応できない部分はありますが、ゴミの分別や仕分け、ゴミ出しなど、できるだけ自分の力でお部屋の片付けを行う方法もあります。ご自身で掃除する分、時間は必要となりますが、強制撤去により多額の料金を支払うよりも確実に安く抑えることができます。

まとめ

ゴミ屋敷問題はご自身だけの問題ではありません。団地にはファミリー層も多く居住しているため、小さいお子さんへの悪臭や害虫による影響は大人に比べ多大なものとなります。また、火事や放火など命に関わるトラブルの現場となる危険性もあるため、ゴミ屋敷の清掃は迅速に対処するべきでしょう。

この記事の執筆者
花春
フリーランスのwebライター。webマーケティング」について実践経験も豊富。自身の異なる業種の経験から、様々な問題について、様々な目線で分析し発信しています。