孤独死を防ぐためにできることは?実態や対策をご紹介します!

孤独死 対策

普段あまり話題になることのない『孤独死』ですが、意外と身近な話です。私の住んでいる地域は一人で住まわれているお年寄りの方が多く、不幸なニュースを町内会の噂や掲示板で聞くことも少なくありません。今回はそんな『孤独死』の現状や、対策方法を詳しく説明していきます。

今回はそんな『孤独死』の現状や、対策方法を詳しく説明していきます。

孤独死とは?年々増加している?

孤独死とは

孤独死を定義する法律的な言葉はありませんが、内閣府の高齢社会白書には「誰にも看取られることなく息を引き取り、その後、相当期間放置されるような悲惨な孤立死(孤独死)」書かれています。「相当期間」とは一般的に2日以上経過した場合に当てはまります。

孤独死は年々増加している

日本では「孤独死」を法律的に定義していないので、「変死」のうちの一つとされており正確なデータはありません。

以下のグラフは東京都監察委員会のホームページに掲載されている、『東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計』を基に作成した孤独死の推移です。

あくまで東京都だけであることと、東京都監察委員会でのデータなので本当の孤独死の数とは異なる可能性が高い点で注意が必要です。日本全体の孤独死について考えるには他の要素についても考える必要がありますが、東京都の分かっている範囲の推定孤独死だけでも2013年から2019年の6年間で1000件近く増加しています

なぜ孤独死は増えるのか

孤独死になってしまう直接的な原因は、死んだときにすぐに気付いてくれる家族などと同居していないことや、こまめに生存確認をしてくれる人がいないことです。

少子高齢化の影響や核家族化などの影響で、特に孤独死の多い65歳以上の単独世帯や単独世帯の予備軍である65歳以上の夫婦のみの世帯の割合は年々増えています。
1986年には65歳以上の高齢者のみの世帯(単独・夫婦のみ)は合計しても日本の全世帯のうち10%未満でしたが、毎年上がり続け2018年には30%を超えています。(グラフは厚生労働省『2019年 国民生活基礎調査の概況』よりデータを引用して作成)

高齢者だけの問題じゃない。アラサー世代の若者も増加傾向

東京都監察委員会のホームページに掲載されている、『東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計』から、20代・30代の東京都特別区での孤独死は毎年350件前後です。特にいわゆる「アラサー世代(25歳~34歳)」に限って言えば、ここ数年孤独死の件数は若干の増加傾向を見せています。

若者の孤独死の原因も社会からの孤立

近年では仕事をきちんとしていても、定期的に連絡を取り合う友人や家族がいないなど社会から孤立している若者が少なくありません。家族との関係が悪くなくても、家族が「若いからあまり心配しなくても大丈夫」と、突然の孤独死に気付けないパターンもあります。

突然の心臓発作などで倒れてしまい、誰にも気付かれずに孤独死をしてしまう場合と、貧困や精神疾患などによる餓死のケースがほとんどです。そして死後数日誰にも気付かれないまま、近隣住民に発見されるケースが少しずつ増加しています。

どの様にして孤独死を防ぐ?具体的な方法をご紹介!

自分が孤独死をしないためにできることは、近隣住民の方に普段から協力をしてもらう必要があります。一人暮らしの親の孤独死が心配な場合、親と近隣住民の人間関係までは分からないので、あまり積極的にお願いをすることも難しいでしょう。

そこで今回はご近所さんの協力がなくてもできる孤独死対策を紹介していきます。

ホームヘルパー、家事代行など定期的な訪問サービスを利用する

ホームヘルパーさんや家事代行サービスは決して安いサービスではないので、毎日の利用は難しいかもしれません。しかし、数日おきにヘルパーさんや家事代行サービスの人が家に来てくれれば、異変がある場合にすぐに気が付いてもらえる可能性が高まります。また、お迎えに来てくれるデイサービスの利用も同様におススメです。

老人向け施設に入居する

ランニングコストはかかってしまいますが、老人向け施設に入居するとスタッフの方が見守って下さるので、孤独死のリスクは下がります。

家族や友人がこまめに連絡をとる

家族や友人が毎日決まった時間に電話をしたり、メッセージを送ることで孤独死を防ぐことができます。少しでもおかしいと思ったらすぐに家に行くなどの工夫が必要ですが、一番安価で始めやすい方法です。

見守り機能のついたスマート家電を利用する

人感センサーやテレビ電話、タブレットなどを設置して、家族が安否をこまめに確認することで孤独死を防ぎやすくなります。他にも、使用するたびに家族に通知の行く電気ポットやコンセントで電力使用量をチェックして、消費電力のパターンに異常があればメールで知らせる電源タップなどもあります。

スマホの見守りアプリを使用する

スマートフォンを使える人なら、スマホの見守りアプリを使用することもできます。GPS機能で家族に移動した形跡が伝わり、長時間動かないなどの異常を伝えることができます。また、決められた時間にアラームを設置して、そのアラームを消さないと家族に通知が行くことによって安否確認ができるなどすぐに異常に気付ける工夫がされています。

最近は孤独死対策のためのサービスも!事例を紹介

先ほど紹介した対策方法以外にも最近では、孤独死対策のサービスがあるのでそれを利用することで、孤独死を防ぐこともできます。

自治体の見守りサービスや安否確認サービス

市区町村などの各自治体で孤独死を防ぐためのサービスがあります。地域のボランティアが一人暮らしのシニアの住まいを定期的に訪れて声かけをするサービスです。各自治体によって安否確認の方法が違っていたり、そもそも行っていない場合もあるので、利用をする場合は各自治体に問い合わせて確認する必要があります。しかし自治体のサービスなので、安価または無料で利用することができます。
参考:厚生労働省『孤独死対策』

例)
岩手県雫石町 一人暮らし高齢者、高齢者のみ、障がい者、日中高齢者の各世帯にを、民生児童委員の協力により、対象地区ごとにリストアップし、マップを作成しています。 毎年1回、更新作業をしています。お互い意識的に見張り合うきっかけにしているそうです。
他にも、自治体と新聞配達やガスの検針の係の人などが、配達・巡回時に新聞がたまっていない、電気やガスの使用量などに異常がないかを確認して孤独死の可能性があった場合知らせるサービスなどもあります。

例)
宮城県栗原市「声かげねっと!」 郵便配達、水道の検針など、業務上定期的に利用者宅を訪問する事業者の方の協力の元、訪問時に励ましの声がけを行うことで安否確認を行っています。現在24事業所が協力しています。
こういったサービスは近隣住民と仲が良くなくても利用しやすく、高額でないことから誰でも利用しやすくなっていますし、スマホのような機械の使い方が分からなくても利用できますので、誰でも試しやすいのでおススメです。

まとめ

少子高齢化社会である日本では孤独死は誰にでも起こりうる問題です。
孤独死を増やさないためにも、近隣住民で少し心配な人がいる場合は積極的に交流をしたり、適宜気にかけてあげるなど一人一人の小さな協力も必要になってきます。

また、自分の孤独死が不安な場合は今からでもコミュニティに属するなどして、心配してくれる人を作るだけでも、自分の意識もだいぶ変わります。
今回紹介した方法と合わせて、是非実践してみてください。

この記事の執筆者
兼島剛
webメディア系の会社、コンサルティング会社に勤務後、現在はフリーランスのライターとして活動中。ライティングの際は現地取材を徹底して行うなど現場に密着した記事がウリ。得意ジャンルは政治経済、暮らし・ライフスタイル。特掃ジャーナルにも複数の記事を寄稿中。