遺品整理で回収された遺品たち。思い出の品はその後、どこへ行くのか

遺品整理 その後

138万通りの遺品の行方

2020年、厚生労働省の調査によると、約138万人の方が亡くなったそうです。138万通りの人生があって、138万通りの遺品たちが整理されたことになります。いくら大切な家族の遺したものとはいえ、全てを手元に置くことはできません。整理をして、必要なもの以外は泣く泣く手放して……といった経験をされた方も多いのではないでしょうか。年間に100万人以上の方が亡くなるということは、それだけ処分されたり回収されたりした遺品も多いということ。では、その遺品たちは一体どこへ行くのでしょうか。

ただゴミになるだけではない!資源としての新たな姿

「家族にとっては思い出の品。でも一度業者に頼んで回収されてしまったら、ゴミになるだけ。」と思ってはいませんか?以前は確かに、焼却されるだけだったかもしれません。しかし今は、サスティナブルな取り組みが重要視される時代です。ただのゴミになるのではなく、そのまま使えるものはリユースされたり、資源としてリサイクルされたりと、様々な方法で生まれ変わるのです。

例えば家具であれば、状態が良ければリユースに回されます。家電であれば、実際に使えるかどうかを確認してから回収してもらうのが良いでしょう。新しい持ち主の場所で、また人に愛される。物にも次の活躍の場を与えられるのです。価値のあるものであれば、鑑定して買い取ってもらうこともできます。業者の方に一度相談してみてください。

また、再利用できないと判断されたものはリサイクルに回ります。プラスチックやガラスなど、細かく分類されて、新しい製品となって世に出てくることになります。もしかすると、身の回りにある製品も、だれかの思い出の品からできているのかもしれませんね。しかし、業者によっては回収後の対応が違う可能性があるので、依頼する前に電話などで問い合わせてみると良いでしょう。悪徳業者に依頼してしまうと、資源として活躍する日は来ないかもしれません。地球環境に少しでも配慮したいという考えの方は、リサイクル・リユースを推進している業者へ依頼をするのがお勧めです。

遺品が海を渡ることも!国境を越えて人に愛される

さて、遺品のその後の活躍は、日本だけに留まりません。中には海を渡り、外国で活躍する遺品もあるのです。日本製の家電が海外で有名なことはよく知られていますが、実は「日本で使われた」というだけでも、充分な価値があります。やはり日本製は安心、丈夫、というイメージが強いのでしょうか。特にフィリピンやマレーシアといった、いわゆる発展途上国での人気が高く、オフィスなどでよく使われているようです。値段が多少高かったとしても、他国の新品より日本の中古を買う、という選択をされる方が多いのだとか。ここまで日本製品が海外の方々に愛されていると分かると、なんだか心が温かくなりますね。

日本製じゃなかったら人気がないのか、というと、そんなことはありません。たとえ日本製でなくても、日本語が書いてあるだけで大丈夫。日本で使われたものは、日本人の目にかなった製品、という印象なのでしょう。日本語の有無で、日本で使われたかどうかを判断しているそうです。遺品整理も、グローバル化が進んできているということなのでしょうか。家族の遺品が、遠い国で大活躍!なんてこともあるのかもしれません。

海外の遺品整理の方法とは?まさかの即売会!

ここまでは国内の遺品整理について話を進めてきましたが、海外の遺品整理に視点を移してみましょう。海外ではどのように遺品整理をするか、気になりませんか?よく知られているのは北米の例です。

北米では、亡くなった人の持ち物を売る、即売会がメジャーなのだとか。その名も「エステートセール(Estate sale)」。しかも売るのは家の中のものだけではありません。なんと不動産も、相続人が不要だと思った場合には全て売りに出してしまうのです。ヴィンテージや中古の家財を求めて買いに来る人は意外と多くいるのだそう。合理的で大胆なお国柄が、遺品整理にも表れているようです。確かにスムーズな整理方法ではありますね。しかし、国は違えど、近しい人が亡くなった時の悲しみは同じ。エステートセールをやるだけの気力が湧かない方も当然いるようです。そういった場合には、エステートセールを代行してくれる業者に頼むことになります。日本の遺品整理業者と似ているところがありますね。もしかすると近い将来、日本にもこの合理的でスムーズなエステートセールを行うケースが増えていくかもしれません。

まとめ

回収された遺品たちのその後を紹介しました。遺品の中には、資源として新しい姿に生まれ変わるものあれば、中古品として海を渡るものもあります。遺品はただのゴミにはなりません。思い入れのある品々が、次の誰かの手に渡る。そんな素敵な活躍の場があるのです。遺品整理を業者に頼む際にはぜひ、回収後の対応についても聞いてみてください。

この記事の執筆者
兼島剛
webメディア系の会社、コンサルティング会社に勤務後、現在はフリーランスのライターとして活動中。ライティングの際は現地取材を徹底して行うなど現場に密着した記事がウリ。得意ジャンルは政治経済、暮らし・ライフスタイル。特掃ジャーナルにも複数の記事を寄稿中。