エンバーミング(遺体衛生保全)にかかる費用とは?目的と併せてご紹介!

エンバーミング

みなさんはエンバーミング(遺体衛生保全)という言葉をご存じですか?エンバーミングという言葉は、葬儀や終活の経験がある方であれば聞いたことのある言葉かもしれませんが、あまり多くの人には普及していない言葉です。お葬式の時、故人の顔が眠っているだけかのような生前の姿を保てている理由には、このエンバーミングという仕事が大きく関わっているからなのです。本記事ではエンバーミングについて、詳しい内容や費用、目的について紹介していきます

そもそもエンバーミングとは?どんなことをするの?

本記事にて紹介するエンバーミングですが、そもそもエンバーミングとはどのようなものなのでしょうか。エンバーミングとは、遺体の保存、防腐、殺菌、修復といった遺体に対する特殊な処理を専門技術者であるエンバーマーが行うことを指します。では、エンバーミングを行うとどのようなメリットがあるのでしょう。

エンバーミングを行うことによる1つめのメリットは、衛生的な安全を確保できることです。遺体は、腐敗が進行するとウイルスや雑菌が発生します。ウイルスや雑菌が体内に侵入すると感染症を引き起こす可能性があるため、エンバーミングによって防腐することで、家族が故人の身体に触れることができます。

2つ目のメリットは常温での長期保存が可能であることです。本来、遺体を腐敗させずに保存させておくには、冷凍保存が必要となります。しかし、エンバーミングをすることで、夏場の暑い時期でも常温での長期保存が可能となります。

3つ目のメリットは、生前の姿に近い状態でお別れができることです。病気によって痩せ細ってしまったり、事故によって顔が損傷してしまったりと、遺体は生前と異なる場合があります。エンバーミングでは、生前元気だったころに近い姿でお別れができるようにそのような遺体の修復をするのです。

以上がエンバーミングを行う主なメリットとなります。個人様と最後に悔いのない別れ方をするには、エンバーミングを行うことは必須とも言えますね。

エンバーミングが必要になるケースは?

エンバーミングの内容やメリットを紹介しましたが、どのような場面で必要となるのでしょうか。ここでは、エンバーミングが必要なケースを3点紹介します。

エンバーミングが必要なになるケースの1点目は、生前の元気な姿を取り戻して葬儀を行いたい場合です。病気や事故によって変わってしまった顔は、久しい親族や友人の想像とは異なる姿となってしまっているかもしれません。生前の元気だったころの姿で送り出してあげたい、と思う場合には、エンバーミングを依頼するとよいでしょう。

続いて2点目は、葬儀までの日数が長くなる場合です。遺体は、基本的に冷凍保存をしておかなければ腐敗が進行してしまいます。腐敗すると、人体への影響や遺体の損傷につながるため、腐敗の進行がしやすい夏場にはエンバーミングが必須化と思います。

最後に3点目は、空輸で遺体の搬送を行う場合です。海外などで死亡した場合、遺体を空輸で日本に運ぶ必要があります。しかし、空輸では安全上の理由でドライアイスを使用することができず、腐敗してしまいます。腐敗を防ぐために、エンバーミングが必要となるのです。

エンバーミングは具体的にどのような処置をするの?

遺体を保全するエンバーミングですが、具体的にどのような処置が行われるのでしょうか。エンバーミングは大きく分けて7つの処置が行われるため、順に紹介します。

  1. 遺体の洗浄・消毒
  2. 身体表面をよく洗浄し、消毒します。

  3. 洗髪・洗顔
  4. 洗髪と洗顔を行い、顔に生えている毛の処理を行います。

  5. 体内洗浄・防腐保全
  6. 血液を排出し、保全液を注入することで体内に防腐保全を行います。

  7. 消化器官の残存物除去
  8. 胃や腸に残った残存物を取り除きます。

  9. 縫合・修復・洗浄
  10. 体内洗浄で切開した部分の縫合、顔を中心とした損傷個所の修復、その後再度洗浄を行います。

  11. 着付け
  12. 指定された衣装や、宗旨に合った衣装への着付けや、整髪を行います。

  13. 死化粧・納棺
  14. 生前の姿に近づける死化粧を施し、納棺を行います。

ざっと見ただけでもかなり細かな工程となっておりますね。エンバーミングはご遺体と真摯に向き合う大切な仕事だということが分かります。

エンバーミングにかかる費用はどのくらいなの?

ここまで紹介してきたエンバーミングですが、とても多くのメリットがありますが、作業工程も多いため値段が気になりますよね。エンバーミングにかかる費用は、IFSAが定めているため業者による差は少なく、20万円前後が相場となっています。料金の中には、先ほど紹介した処置内容以外にも、自宅と施設間の搬送なども含まれています。少々値は張りますが、最も良い形で故人を送り出すためには、エンバーミングの依頼をおすすめします。

まとめ

本記事ではエンバーミングの内容や費用について紹介しました。遺体のケアとして重要なエンバーミング、決して安くはありませんが、故人を送り出す気持ちとして依頼をし、生前になるべく近い形で葬儀を行いましょう。

この記事の執筆者
立花廉
フリーランスのライターとして活動中。エンターテイメント系から子育て、ライフスタイル・生活関連の記事まで月に数十本の記事を執筆し実績も豊富。得意分野はエンタメ・娯楽、社会問題関連のジャンル。特掃ジャーナルにも複数の記事を寄稿中。特殊清掃や遺品整理に関する記事を特掃ジャーナルで多数執筆。