深刻化する「孤独死」という社会問題。予防や対策はどうすればいいの?

葬祭ディレクター

近年、孤独死という言葉を耳にする機会が多いかと思います。孤独死とは、一人暮らしをしている人が孤独に死んでしまうことを指します。長い間遺体が発見されない現場では、近隣の住宅や建物自体に大きな影響を与える可能性があり、大きな社会問題となっています。皆さんの周りの人間や、自分自身も孤独死する可能性があることを理解しておく必要もあります。今回は、そんな孤独死の社会問題について、現状や予防、対策について紹介していきます。

改めておさらいしましょう。孤独死の現状とは?

先ずは孤独死について改めておさらいをしましょう。孤独死は、年々増え続けているのが現状です。東京23区内における一人暮らしで65歳以上の孤独死者数は、2003年から2015年にかけて倍以上になっています。高齢化の増加とともに、孤独死の件数も増えているのが分かるかと思います。

また、孤独死には女性よりも男性が多いという特徴があります。これは、男性の料理や掃除といった家事の能力が低いからです。栄養管理や衛生環境は健康に大きく影響するので、家事が苦手な男性でも心がけるとよいでしょう。孤独死をする人の特徴としては、会話の頻度や近所付き合いが少ない方や、困ったときに頼れる人が少ないという特徴が挙げられます。孤独死を防ぐには、近所付き合いや家族との日々の連絡が大切であることがよくわかりますね。孤独死の現状としては年々増加していますが、日々の生活の中に孤独死の原因があることはわかっていただけたかと思います。

一体いつから社会問題化したの?

加速する孤独死ですが、いつから社会問題化しているのでしょう。孤独死が社会問題となったのは、2000年代からです。
高齢化や核家族が問題視され始めた頃と同時期に、孤独死も社会問題となっています。そんな社会問題となっている孤独死ですが、国レベルではどのような対応がとられているのでしょう。

孤独死が問題となった初期に大きな対応がとられたのは2008年に厚生労働省が開催した「高齢者などが一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議」です。この会議では、孤独死を予防するコミュニティづくりについて提言され、孤独死という言葉が世に普及しました。

また、2011人には内閣にて「一人ひとりを包摂する社会」特命チームが設置されました。このチームは、高齢者などに限定せず社会的排除のリスクを回避することを目的としており、「パーソナル・サポート・サービス」や「社会的包摂ワンストップ相談支援事業」の推進、提言がなされています。10年以上前から孤独死に対して何らかの対応をしているものの、急増する孤独死を抑えることはなかなか難しいようです。

高齢者だけではなく若者の孤独死も増加している?

孤独死という言葉を聞くと、一人暮らしをしている高齢者に多いと思われがちです。しかし、近年では若者の孤独死も増加しています。
若者の孤独死が増えている原因は主に2つ挙げられます。

まず挙げられるのは、核家族化によるものです。核家族化とは、一人暮らしをする世帯が増える現象のことで、現在の日本では4人に1人が一人暮らしであるといわれています。一人暮らしは、栄養や衛生環境の管理ができなくなってしまう人が多く、健康にも大きな影響を与えてしまいます。

次に挙げられるのは、社会的孤立によるものです。日本人は、社会的な孤立をしている人が世界の国々と比べても多いことが特徴です。友人や同僚といった人との交流が日常で全くない、という人の割合は約15%おり、OECD加盟国20カ国の中で最も高い割合となっています。人との交流がないと、精神的に病んでしまう人も多いため、人との交流は孤独死を防ぐうえでも重要になります。

国や自治体の対策や個人でできる予防策あるの?

国としては、厚生労働省や内閣が孤独死への対策を提言していることは先ほど紹介しましたが、自治体の対策や個人での予防策はあるのでしょうか。自治体としての対策は、市区町村によって大きく異なりますが、孤独死対策をきっちりとしている地域では、職員が定期的に自宅を訪問し安否確認をするサービスがあります。運よく命が助かる場合や、亡くなっていても遺体の腐敗が進行する前に発見できることがあるので、とてもありがたいサービスですよね。

個人での予防策としては、スマートフォンによる安否確認サービスを利用することがお勧めされます。多くのサービスがありますが、ケータイの利用状況がチェックできるものや、無料チャットアプリLINEで手軽にできるサービスがあるので、有効活用しましょう。

まとめ

深刻化する社会現象である「孤独死」について紹介しました。国レベルでの対策でも加速し続けている孤独死の増加を抑えるには、皆さん一人ひとりの意識が必要となります。自治体や個人で利用できるサービスを有効活用し、自身や親族の孤独死を防ぎましょう。

この記事の執筆者
立花廉
フリーランスのライターとして活動中。エンターテイメント系から子育て、ライフスタイル・生活関連の記事まで月に数十本の記事を執筆し実績も豊富。得意分野はエンタメ・娯楽、社会問題関連のジャンル。特掃ジャーナルにも複数の記事を寄稿中。特殊清掃や遺品整理に関する記事を特掃ジャーナルで多数執筆。