「コロナで広がる若者の貧困」データから若者の貧困の現状を把握

若者 貧困

2020年は新型コロナウイルスの流行により多くの飲食店や旅行関係の業界に大きな影響がでました。その他にも新型コロナウイルスによる、社会・経済活動の自粛などの危機的状況を鮮明に覚えている方は沢山いるかと思います。そんなコロナウイルスには現代の若者にも大きな影響を及ぼしました。ただでさえ日本国内の問題にもなっている「若者の貧困」問題にコロナウイルスは大きな影響を及ぼしました。

そこで今回の記事では「コロナで広がる若者の貧困」についてデータを確認しながら貧困の現状を紹介していきます。ぜひ、現在の若者の生活の現状、貧困下に置かれている状況に興味がある人は、ぜひこの記事を読んで参考にしてください。

若者の貧困は増加傾向?貧困とは具体的にはどのような状態を指すの?

貧困には2種類あり、食べるものや住む場所がないなど最低限の生活が送れていない「絶対的貧困」と、その国の生活水準と比較して低い状態の「相対的貧困」があります。日本絵は最低限度の生活は保障されているので、絶対的貧困の方はそうそういないと考えられておりますが、相対的貧困の人は一定数します。相対的貧困は絶対的貧困と比較すると「明らかな貧困」と映らないことも多々あるので、周囲の人に貧困状態にあることを認知してもらえないことが多いです。

しかし、日本の相対的貧困率は15%程とされており、約6~7人に1人が相対的貧困とされています。意外に大きい数字ですよね。そして現在では若者の貧困も増加しています。その理由にはコロナウイルスの影響もあると考えられておりますが、それ以前の様々な原因も考えられております。以下ではさらに詳しく解説していきます。

データや指標で日本の若者の貧困を確認

厚生労働省のデータによるとコロナウイルスの影響があった約5月間での解雇等見込み労働者は63,347人とされ、そのうち31,050人が非正規労働者となっています。総務省統計局の調査によると、特に20代女性の非正規雇用率は40%前後を推移しており、非常に高い非正規労働率となっておりました。

2018年の年齢層別相対的貧困率で最も高かったのは80歳以上で、それに次いで15歳~19歳の貧困率が高い結果になっており、若者の貧困率は高い状態であることが確認できます。そして日本の相対的貧困率はG7のうちで米国に次いで2番目に高い比率と、先進国の中でも貧困問題の深刻度が高いように思えます。

なぜ若者の貧困は生じてしまうの?どんな人に多い?

若者の貧困が生じてしまう原因として、直近で考えられるのは新型コロナウイルスによる影響でしょう。コロナウイルスによって多くの会社が倒産したり、従業員が解雇されたりしてしまいました。その結果として多くの人が職を失い、生活が厳しくなったため貧困へと繋がっていたことが多いようです。特に女性は非正規雇用者として働いている人も多いため、解雇やリストラの対象となることも多かったようです。現に新型コロナウイルスがあった2020年は女性の自殺率のみが上昇しております。このこともコロナウイルスによる貧困問題が関係あるように思えます。

また、最近取り沙汰されている奨学金の返済も若者の貧困へと繋がっています。日本の奨学金には返済の義務があります。直接的な言い方をするならば、誰でも借りることができる借金です。そのため、進学などで奨学金を利用した学生は将来働いて返済しく必要があります。特に私立の大学に通っていた人は奨学金で借りたお金が多くなるため、負担がかなり大きいです。文系や理系、医療系や美術系など通っていた学校にもよりますが、1,000万円を超えることもザラです。まだ新卒で手取りも少ない状態での奨学金の返済額が占める割合はとても大きいため、奨学金により、生活が苦しくなってしまうこともあります。厚生労働省の2019年の調査によると20~24歳までの年収で一番多かったのは200~219万円ですので、月数万円の奨学金の返済額はかなりの負担になるでしょう。

また、ひとり親家庭の子供ほど、貧困になりやすいとされています。上記でも述べたようにひとり親の場合、十分な収入を得ることができず、子供の学費を負担できない家庭もあります。そのため、奨学金や負担の大きい教育ローンなどに頼ってしまうケースが多いでしょう。また、ひとり親家庭では進学させる余裕がない家庭も多いです。そのため子供の周りとの教育格差が広がっていきます。日本には最終学歴を重視する風潮が残っているため、就職も上手くいかず所得格差へと繋がってしまうことは往々にしてあります。

加齢とともに続いてしまう。孤独死などにも繋がってしまう?

現在貧困状態にある若者が、年齢を重ねたとしても貧困の状況を脱することはは難しいでしょう。その理由としては貧困者の多くは非正規雇用者として働いており、年齢を重ねても所得が上がらず正規社員との所得格差が広がってしまう厳しい生活が続いてしまうこともあります。

また、非正規雇用から正規雇用へとキャリアを変更することは一般的には難しいとされており、中々非正規雇用、さらには貧困から抜け出せない状況が続いてしまいます。最終的には、介護や医療に通うお金も十分ないため孤独死に繋がってしまうこともあります。特に単独高齢者の貧困率は高く、周囲に頼ることができないため貧困状態が継続してしまうという大きな負の側面を抱えているので、できるだけ若い時に貧困から抜け出すための方法が必要です。

まとめ

今回の記事では「コロナで広がる若者の貧困」を中心に紹介していきました。コロナウイルスによって若者の貧困が増加したのは事実ですが、それ以外にも多くの要因があります。ひとり親世帯の育てられた子供や、奨学金返済による生活費の圧迫などが若者の貧困に繋がっていて、今後はこういった問題を改善していくことが必要になります。相対的貧困は目に見えにくく、問題にもなりにくいので今回の記事で若者の貧困について少しでも知っていただけたら幸いです。

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この記事の執筆者
兼島剛
webメディア系の会社、コンサルティング会社に勤務後、現在はフリーランスのライターとして活動中。ライティングの際は現地取材を徹底して行うなど現場に密着した記事がウリ。得意ジャンルは政治経済、暮らし・ライフスタイル。特掃ジャーナルにも複数の記事を寄稿中。