孤独死保険とは、孤独死によって生じてしまう家賃の損失や居室の原状回復費用などの金銭的損失を補償する保険です。
近年、高齢者が一人で住んでいる世帯の増加や孤独死が増えていることもあり、孤独死保険の需要が高まっています。需要の増加に伴い、孤独死保険のサービスも増えていて、どのサービスが一番自分に適しているのかが分かりにくくなっています。
今回は孤独死保険に加入する必要性があるのか、また孤独死保険の一般的な補償内容、提供している会社を紹介します。
孤独死保険の導入を検討されている方は是非参考にしてください。
孤独死保険の必要性
孤独死保険は高額なものでは年間数十万円の費用が発生しますので、本当に孤独死保険に加入する必要性があるのかどうかは悩ましいと思います。一人暮らしの若者の孤独死も少なくないことも、孤独死保険に加入するかしないかの判断をさらに難しくしています。
まず、家族向けのマンションを運営していて、入居者のほとんどが一人暮らし世帯でないなら、孤独死保険の必要性は低いでしょう。
しかし一人暮らし向けのアパートや、一人暮らしの人が多いマンションでは孤独死保険の必要性は高いといえます。入居者に特にお年寄りが多い場合は、なるべく孤独死保険に加入をしておきたいです。
特に所有物件が遠方にあるなどで、管理会社等に管理を任せっきりで自分ではアパートやマンションの様子を定期的に確認できていない人は入っていた方が安心です。
例外的に一人暮らしが多いアパートやマンションでも、学生向け(学生が多い)のアパートやマンションは孤独死保険の加入の必要性はそこまで高くはありません。学生は基本的に友達と連絡を取り合っていますし、友達がいなくても親とは定期的に連絡を取っている事が多いので、孤独死をする可能性が低いです。
自分の所有している賃貸の入居者層をよく把握したうえで、孤独死保険に加入するか否かを考える必要があります。
孤独死保険の補償内容
孤独死によって発生してしまう費用は主に4種類あります。保険によっては保険によっては補償されない損失などもありますので、発生しうる損失は把握したいです。そこで、主に補償される内容を説明していきます。
1.原状回復費用
普通に退去するときにも、部屋の原状回復は行われます。部屋の原状回復費用は退去時の部屋の汚し具合に比例しますので、孤独死でも早期に発見をされて部屋が汚れていない場合はそこまで高額なものになりません。発見が遅れて腐敗が進んでしまうと原状回復費用はかなり高額になってしまい、500万円以上かかってしまったというケースも少なくないようです。孤独死保険ではそういった原状回復費用を補償してくれます。
2.家賃損失
現状回復をする期間や新規の入居者を探す期間などで家賃収入がなくなってしまいます。また、孤独死があった事が理由で家賃を下げる必要が出てくるなどの損失があります。そういった家賃収入の減少をカバーしてくれるため少しだけ安心して原状回復などに取り組むことができます。
3.特殊清掃費用
孤独死や自殺などがあった部屋や建物の清掃のことを特殊清掃と言います。遺体の腐敗臭の消臭や、体液から発生する汚れをきれいにしたり、死体に寄ってきてしまった害虫駆除などを行います。通常の清掃よりも高額で、ワンルームでも5万円から10万円程度してしまいます。
4.遺品整理費用
孤独死をされた入居者の私物を処分する費用です。家具などが多い人ですと粗大ごみの費用などがかさんでしまい、思った以上に高額になってしまうことも少なくありません。
孤独死保険には家主型と入居者型がある
孤独死保険には家主が入所者の孤独死があった場合にかける保険と、入居者が自分自身が孤独死をしてしまった時のための保険の2種類があります。どちらもメリット・デメリットがあります。
家主型
家主型の孤独死保険は、家主が保険に加入すると、自分の所有する物件内で孤独死が発生した際の遺品整理費用や家賃損失、現状回復費用などを負担してくれる保険です。建物一軒で一括いくらと言う料金体系になるので、高額になりますが、世帯数で考えると数百円から数千円とそこまで高額ではありません。
日本少額短期保険協会が発表している「第4回孤独死現状レポート」によると、家賃補償費用として支払われた保険金額は32万円程度となっています。この額の補償があれば、万が一孤独死が発生してしまっても、原状回復などを安心してゆっくりと取り組む余裕が生まれますね。
入居者型
入居者型の孤独死保険は、入居者が入居者自身にかける保険です。入居者が孤独死してしまった場合に、遺族や補償人に支払い義務の発生した遺品整理費用や原状回復費用を補償してくれます。
入居者型は入居者が加入する家財保険の特約として契約するため、大家さんの金銭的な負担はありません。孤独死以外の災害もカバーできるケースがほとんどです。しかし孤独死が起こってしまった場合に、原状回復が必要で部屋を貸せない期間などは補償されません。孤独死してしまった人に相続人がいない場合、保険対象とならない可能性があるため保険内容の確認が必要です。
孤独死保険と提供会社
孤独死保険を取り扱っている会社は多数ありますが、各社で補償内容は変わります。補償されると思っていたのに、孤独死が起きてから補償対象外だったということが起こらないように契約する前には各社の窓口などでよく確認することをオススメします。
家主型
【無縁社会のお守り】アイアイ少額短期保険(住友生命グループ)
貸している室内で発生した孤独死・自殺・犯罪死によって発生した原状回復費用と、賃貸を貸せなくなる期間や値引きする期間の損失を補償してくれます。
【大家の味方】株式会社あそしあ少額短期保険
貸している室内で発生した孤独死・自殺・犯罪死によって発生した原状回復費用と、賃貸を貸せなくなる期間や値引きする期間の損失を補償してくれます。
【GK すまいの保険(すまいの火災保険)】三井住友海上火災保険株式会社
建物を保険の対象に含む「フルサポートプラン」または「セレクト(水災なし)プラン」をオプション追加すると、孤独死発生時に清掃費用、遺品整理費用、家賃の損失を補償してくれます。
【トータルアシスト住まいの保険】東京海上日動
家賃収入補償特約に加入していると、孤独死発生時に清掃費用、遺品整理費用、家賃の損失を補償してくれます。
【THE すまいの保険(個人用火災総合保険)】損保ジャパン
家賃収入特約に加入していると、孤独死発生時に清掃費用、遺品整理費用、家賃の損失を補償してくれます。
入居者型
【賃貸住宅生活者総合保険】ジック少額短期保険株式会社
孤立死の原状回復費用保険などを補償してくれます。
【普通保険ミニ】糖尿病保険のエクセルロイド
孤独死してしまった場合に、未納家賃や部屋の家財費用、現状回復費用、清掃費用などを補償してくれます。また、家族以外の第3者を保険金受取人として指定できるため、管理会社や賃貸のオーナーを指定することも可能です。
まとめ
今回は孤独死に関する保険についてみていきました。
普段からの見守りや声掛けによる孤独死の防止も大切ですが、防ぎきれないことも少なくはありません。万が一の時に備えて、孤独死保険への加入を検討してみてくださいね。