孤独死の引取拒否は可能なの?孤独死と併せて年々増加している無縁死とは?

孤独死 引取拒否

自分の遠い親戚や親類などで孤独死が起きてしまった場合、遺体(遺骨)の取り扱いなどはどのようになるのか疑問に思ったことはありませんか?自分が社会から孤立してしまった状況で孤立死をしてしまった場合、どのように埋葬されるのか不安に思っている人もいるかと思います。今回は無縁仏がどうなっていくのか、親類がいても引き取り拒否をされてしまった場合はどうなるのかについて紹介していきます。

孤独死が起きた時、遺体はどうするの?

孤独死が起きた場合、事件性の有無を確認するため警察による調査が入ります。その時に、警察により遺体を押収されるケースがほとんどです。孤独死の場合では遺体の確認が終わり次第すぐに警察などで火葬をしてしまうため遺族の手に渡る時には遺骨の状態になっていることが殆どです。

自宅で病死した場合など、犯罪性のないことがすぐに分かるケースでは、検視や部屋の操作にそれほど時間はかからず、半日程度から数日以内で遺体(遺骨)は遺族のもとに返されます。

犯罪性が疑われる場合には、より細かい解剖が行われるため、遺体が返ってくるまでにさらに時間がかかります。 遺体の状態が悪いなどの理由で身元の判別のためにDNA鑑定が行われれば、鑑定結果が出るまで早くて10日〜1カ月程かかることもあります。その後調査が終わり次第、警察から遺体(遺骨)や貴重品類を警察から渡されます。

遺体(遺骨)の引取拒否も可能?

基本的な法定相続人や身元引受人がいる場合、原則遺体(遺骨)はその人が受け取る必要があります。
遺族などが見つからないなどで遺体(遺骨)が引き取られない場合は、身元不明人と同じ扱いである「行旅死亡人」として扱われます。また法定相続人などが見つかった場合は原則として遺骨や遺体の引き取りをする必要がありますが、自治体によっては受取拒否をする事が可能な自治体もあります。その場合でも、火葬費用や納骨費用は法定相続人に請求が行く場合が殆どです。

身寄りのない遺体は自治体が火葬、埋葬します!

孤独死をしてしまった故人に一切親族がいない場合、近隣住人や入居施設が葬儀を引き受けてくれる場合もあります。故人に法定相続人等がいたとしても疎遠で、遺体の引き取りを拒否されてしまい引き取り手がいないケースも少なくありません。その場合は死亡した地域の自治体が遺体を引き取り、火葬・埋葬を行います。

自治体が火葬や埋葬を行う場合、法律に基づいた最低限の簡素な火葬・供養となり、故人が信仰していた宗教に基づいた儀礼的な葬儀などは行われません。自治体によっては火葬前の読経などがある場合もありますが、簡略的で最低限のことしかやりません。

法定相続人が遺骨などを回収に来ない場合は、自治体が一定期間管理をします。自治体ごとに決められた期間(平均的には5年程度)保管を行い、その後は身寄りのない人の遺骨を埋葬する合同墓地である「無縁塚」に納骨されます。無縁塚に納骨される際、お骨が粉砕され、一部を除いて産業廃棄物扱いになる部分もあるため、非常に気の毒な末路をたどります。

またそのような形で複数の遺骨をまとめて納骨するため、納骨後に遺族が現れても遺骨を取り出して返却することはできません。なくなった方の骨がまじりあうなど非常に気の毒な形での埋葬になるため、先祖供養をきちんとしたい場合には無縁仏を出さないようにお墓をしっかり管理しましょう。

無縁死や無縁仏とは

無縁死は、お葬式をあげる人や供養する人がいない故人のことを指します。

無縁仏は、お葬式を挙げる人や供養する人がいない故人のこと、またはそういった方が眠っているお墓に入っている人のことを指します。子供や孫、親類縁者などがおらず、亡くなった後に供養をしてもらえない場合は無縁仏という扱いになってしまいます。子孫などの法定相続人がいたとしても、遺体の引き取りを断られて行き先買わない場合は無縁仏となってしまいます。遺体(遺骨)の引き取りを断られてしまう理由は、生前に交流がなく家族という実感がないことや、借金や人間関係など遺体の埋葬費用などを捻出できないなどが考えられます。

人間の遺体だけではなく、管理する人がいなくなったお墓に眠っている遺骨も無縁仏とされます。明らかに誰も管理していないお墓や、子孫が死亡または行方不明などで連絡が取れなくなったお墓に眠っている場合も無縁仏とみなされます。墓地のあるお寺によっては数年間管理する人がいない場合、無縁仏を管理しているお墓に移されることもあります。

近年は無縁死(無縁仏)が急増。社会問題になっています。

全国20の政令指定都市で2018年に身寄りがないなどの理由で受け入れられた「無縁仏」の遺骨数が計8287柱にものぼりました。2013年度に比べると無縁仏の柱数は1.4倍に伸び、2013年から2018年の全国の死亡者数の増加割合を上回りました。

近年は少子化や生涯未婚率の増加などにより、家系が途絶える可能性が高くなっているためお墓をつぐ人が減っています。また以前ほど宗教儀礼を重視しなくなったためお墓参りをする人が減っているなど、お墓の存在意義が問われる時代でもあります。その為、お墓に入った状態の無縁仏も増加しており、管理をするお寺では無縁塚の容量などが問題になっていることもあります。

このように死んだ後も孤立をしてしまう故人の数が増えており、今後少子高齢化がさらに進むことや、単身で住んでいる高齢者の数が増えているなどの要因から今後も無縁仏は増えていくと想定されています。

身元が判明していても引き取ってもらえない無縁死

引き取り手のいない無縁死というと、身元不明の孤立した死者をイメージするかと思います。名前や本籍地などが分からない「行旅死亡人」の遺骨はとても少なく、多くの遺骨の身元は判明していても引き取り拒否をされていることが現実です。

大阪市の場合では、年間2000を超える無縁遺骨のうち、行旅死亡人は50人以下で、残りの遺骨は身元が分かっているのにも関わらず受け取り拒否をされた遺骨になっています。2003年度の横須賀市では身元不明の死者は5人で、身元が分かっているのに引き取り手のない遺骨が11柱だけでしたが、2018年度の横須賀市では身元不明の「行旅死亡人」が3人、身元判明者が50人にも上りました。現在日本では、身元も親族も分かっているのに引き取られない「無縁死」が急増しています。

身元が分かっているのにも関わらず引き取ってもらえない理由として、「家族としての交流が少なすぎたため家族としての自覚がない」「過去に金銭等でもめて縁を切ってしまった」「特別仲が悪いわけではないが、上京などによって連絡をしなくなったため突然遺骨の処理を求められても対応することができない」など、誰にでも起こりうる可能性があります。

まとめ

無縁仏を出さないためにも、今あるお墓を大事にすることや今いる家族を大切にしましょう。特に連絡を取っていない親類などがいて、気になる場合は今からでも積極的に連絡を取って定期的に交流をするように心がけましょう。また自分に身元引受人になってくれそうな人がいないと分かっている場合はなるべく早くに自分のお葬式や納骨に関してなどをお寺などに相談するなど、生前からの対策が必要になるかもしれません。また不安な場合は区役所などの行政機関に相談をすることで対策などを教えてくれる場合もありますので、不安な場合は一人で抱え込まずに相談してみてください。

この記事の執筆者
兼島剛
webメディア系の会社、コンサルティング会社に勤務後、現在はフリーランスのライターとして活動中。ライティングの際は現地取材を徹底して行うなど現場に密着した記事がウリ。得意ジャンルは政治経済、暮らし・ライフスタイル。特掃ジャーナルにも複数の記事を寄稿中。