少子化が進む中、高齢者の貧困率が増加。2016年のデータだと驚愕の〇〇%!
日本では少子高齢化が進んで働く層が薄くなる一方、平均寿命が長くなってきていることが拍車をかけ、高齢者は増加の一途をたどっています。65歳以上では年金で生活をしている世帯が多く、貧困率(所得が国民の平均値の半分に満たない人の割合)は2016年時点で27%ほど。高齢者世帯の4世帯に1世帯が貧困状態に陥っていることになります。
特に深刻化するのは高齢者の単身世帯。男女で違いもあります。
単身世帯の貧困率は、男性では36.4%、女性は56.2%。夫婦世帯のみだと「10.3%」と低いため、単身世帯が数値を大きく押し上げているとわかります。
ここで問題なのは高齢女性の貧困率です。高齢女性の配偶関係別相対的貧困率は、離別者42.3%、未婚者35.2%、死別者29.9%、有配偶者14.0%となっており、高齢単身女性の貧困率が高く、配偶者のいる高齢女性は低いことがわかります。
どうして高齢者の女性単身世帯は貧困になりやすいのでしょうか。それは、高齢単身女性は基礎年金のみを受給している場合が多いことが考えられます。
年金などの法制度の問題も考えられます。
年金はよく、基本的に全員が受け取ることができる「基礎年金」を「一階」、「厚生年金や共済年金」を「二階」と「二階建て構造」に例えて表現され、年金受給者の中にはこの一階部分だけしか受給できない人がいます。
例えば会社勤めをしていた夫と死別した場合、多くの妻は夫側の厚生年金に加入することで厚生年金を受給できますが、自営業・農業・漁師などをしていた夫と死別すると、妻は基礎年金のみの受給となります。
また、女性が結婚しておらず厚生年金を支払わない非正規雇用の仕事をしてきた場合も、高齢者になっても基礎年金しか受給できません。そして若い時に安賃金で働いていた、または出産や育児に関連して労働期間が短すぎて厚生年金の支払いをそれほどしていなかった場合は、厚生年金は受給できても金額が低くなります。男性の場合は厚生年金を支払っていた可能性が高く、高齢者になった時に死別以外の未婚や離別であっても厚生年金も受給できるため、受給できない女性との格差が生まれてしまっています。
高齢者が増えた今、高齢者の雇用環境の整備が必要です。
現在の公的年金制度では少子高齢化が進むたびに給付金額が低下しています。今後も支給金額は減少すると予想されますが、年金の受給開始を65歳以降にすれば割増しで年金を受給できる繰り下げ受給制度があります。高齢者が働きやすい環境を作って就労期間を長くすれば、受給開始を65歳以降にでき、給付額の減少をある程度抑えられます。
女性に関しては出産・育児による勤務時間の短時間が関係していて、高齢期になっても厚生年金の給付の条件を満たせず給付されません。そのため短時間勤務者への厚生年金の適用拡大が求められます。育児中でも仕事との両立を成り立たせ、女性が働き続けられる環境を作る必要もあり、会社内保育室の設置や短時間勤務を可能とする働き方を整備する必要があります。そして勤労が困難な高齢者に対しては、生活保護などのセーフティネットを強化する必要があります。
まとめ
以前の日本では高齢者は豊かであると言われていましたが、少子高齢化が進む今の日本は主要先進国の中でも高齢者貧困率が高い国になってきています。
高齢者になっても健康的で豊かな暮らしを送るために、セーフティネットの充実や社会環境の整備、改善などが求められています。
同時に、非営利団体により高齢者への支援が行われていますが、自分の老後のためにも今からできることを考え、行動しておくことも重要です。
まずは現状を知り、必要な対策について考えてみてはいかがでしょうか。
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この記事の執筆者
webメディア系の会社、コンサルティング会社に勤務後、現在はフリーランスのライターとして活動中。ライティングの際は現地取材を徹底して行うなど現場に密着した記事がウリ。得意ジャンルは政治経済、暮らし・ライフスタイル。特掃ジャーナルにも複数の記事を寄稿中。