一人暮らしの高齢者が急激に増加。高齢者の独居により生じる問題とは?!

高齢者 一人暮らし 割合

一人暮らしの高齢者の割合。データから見える驚愕の事実とは?

日本の総人口は2017年のデータによると、1億2,671万人となっています。65歳以上の人口は3,515万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)は27.7%となりました。

日本全体の総人口が減少する中で65歳以上の者が増加することにより高齢化率は上昇を続け、2036年に33.3%で国民の3人に1人が65歳以上の高齢者となり、2065年には38.4%で約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上になると推計されています。15~64歳の現役世代と呼ばれる人口で計算すると1.3人で1人の高齢者を支える社会が到来しようとしているのです。

過去のデータ推移を確認。30年前は独居高齢者が少数派!

2019年の国民生活基礎調査によると、65歳以上の者のいる世帯数は2558万4千世帯であり、全世帯総数の49.4%を占めています。65歳以上の者のいる世帯を世帯構造別にみると、1986年には「3世代で暮らす世帯」が4割を超えていたのに2019年では1割を切ってしまっています。

そしてどちらも65歳以上の夫婦のみの世帯は高齢者世帯の46.6%を占め、65歳以上のひとり暮らしの世帯は49.5%、男女の割合は女性の方が多く7割近くを占めるなど、高齢のみが生活する世帯が増え続けている状況です。

認知症や生きがいの低下が原因かも

高齢になると身体的・知能的な機能の低下を自覚するようになります。定年退職によって社会的な地位や役割を失い、また配偶者や兄弟、友人、知人の死といった体験が喪失感をもたらします。

そして社会的孤立になった高齢者は社会参加や外出する機会が減り、家に閉じこもりがちとなっていきます。家に閉じこもると生活不活発になり、食欲低下、栄養の偏り、筋肉量減少・筋力低下などの多様な症状がみられ、加齢により心身が老い衰えた状態に陥ってしまいがちになります。

孤立しやすい高齢者は生きがいを感じていない人の割合が高く、そういう人ほど認知症のリスクも高まるのですが、単身者の場合は同居人がいないので、単なる物忘れではないかと、深刻さになかなか気がつかないことが多く、現実、認知症高齢者の数は増加傾向にあります。

また、体力的な面からも趣味に打ち込むことも難しくなり、生きがいを消失し、老人性うつ病を発症することもある。高齢者のうつ病有病率は13.5%という調査結果も出ています。老人性うつ病は、身体的・精神的な症状から痴呆症と間違われやすく、発見や治療が遅れてしまうケースもあります。

高齢者の独居が加速すると孤独死増加の恐れがあります

高齢になると友人や知人との交流が減少し、外に出ることや他人との会話が煩わしく感じてしまい、家の中に引きこもるようになります。そして、体調が悪くなっても誰にも言わず、気づかれないまま一人で死を迎え、時間が経過してから遺体で発見されることがあります。

このような高齢者の孤独死は年々増加しており、東京では65歳以上の孤独死数は2003(平成15)年で1,441人、2012(平成24)年では2,727人でなっており、約10年間で2倍近く増えています。いまや、高齢者の孤独死は避けられない問題なのです。

まとめ

このような現状を踏まえ、高齢者だけの生活や一人暮らしであっても、なるべく他者と関わるような社会的な活動を継続し、心身の機能を維持できるよう心がけましょう。

また、一人暮らしの高齢者を支えるには家族の努力では難しいため、民間のサービスや地域のサポート体制の利用も考え、生命に関わるサインを感じたら、限界が来る前に同居や施設への入居を検討しましょう。

近所づきあいや社会参加はお互いを気にかけ合い見守るという役割も持ちます。ひとり暮らしであってもお互いの健康状態や近状を把握していれば、急な体調不良や不慮の事故があった場合にも家族に連絡がとれることや病院へ搬送できるなど、自宅で孤立死する状況までには至らないかもしれません。

▼おすすめ記事

深刻化する「孤独死」という社会問題。予防や対策はどうすればいいの?

この記事の執筆者
兼島剛
webメディア系の会社、コンサルティング会社に勤務後、現在はフリーランスのライターとして活動中。ライティングの際は現地取材を徹底して行うなど現場に密着した記事がウリ。得意ジャンルは政治経済、暮らし・ライフスタイル。特掃ジャーナルにも複数の記事を寄稿中。