2020年は自殺者数が増加?! コロナによる影響、性別年代に傾向はあるの?詳細を解説します!

自殺者数 推移

30年前からの自殺者数の推移を確認。近年は低下傾向だった?

突然、生活環境が一転した2020年。総自殺者数は2万1081人。前年より約4.5%(912人)増え、リーマンショック後の09年以来11年ぶりに増加に転じました。警察庁の統計によると日本の年間自殺者数は1988年から97年までの10年間に平均約2万2000人。それが1998年には一挙に3万2863人に増え、3万人台はその後十数年続き、日本は世界でも自殺率の高い国となりました。

突然、生活環境が一転した2020年。総自殺者数は2万1081人。前年より約4.5%(912人)増え、リーマンショック後の09年以来11年ぶりに増加に転じました。警察庁の統計によると日本の年間自殺者数は1988年から97年までの10年間に平均約2万2000人。それが1998年には一挙に3万2863人に増え、3万人台はその後十数年続き、日本は世界でも自殺率の高い国となりました。

性別や年齢、職業別の推移を確認

性別では男性が1万4055人と11年連続の減少に対して、女性は7026人(前年から935人増)となり、女性の自殺増がそのまま総数の増加になっています。年代で見ると50〜60代を除く各世代で前年より増加。20代が最も多い404人(19.1%)、10代も118人(17.9%)増えました。一桁だった他の世代と比べ、若い世代の増加率が顕著です。職業では被雇用者・勤め人が最も大きく増加(540人、8.7%増)。増加率では学生・生徒等が17.0%(151人)と最も多い結果となっています

どのような原因で自殺をしてしまうの?主な自殺理由はこちら

1年以内に自殺を考えた人達にとっての強いストレス要因を調べると「精神的健康問題(うつ病など)の症状悪化」「同居する家族からの感情的な暴言」「経済的に苦しく、家賃や光熱水費・食費などの生活費が工面できない」「就職/転職活動が困難である」などが挙げられました。

また、15歳から19歳の若年層に絞ると「休校明けでクラスに馴染めない」「同居家族と過ごす時間の増加(1人時間の減少)」「連日コロナのニュースを目にする」など、もともと家族と不和を抱えていた若者がステイホームによって逃げ場を失ったり、コロナ社会特有の生活の変化に起因するストレスが大きく心に負荷をかけている実態が見られました。

増加が目立った女性の場合は新型コロナウイルスの影響による労働環境の変化との関連が示唆され、女性に深刻なしわ寄せがいく社会の構造的問題が要因となっています。特にパートや派遣といった非正規で働く女性たちが解雇や雇い止めなどを挙げており、「休業を命じられたのに補償が受けられず、たちまち生活が困窮した」など「雇用の調整弁」として追い詰められている実態も浮かびました。

上記の理由に加えて、20202年に7月と9月に人気若手俳優が相次いで亡くなった際の報道後には、相談機関に「自殺報道で心が揺れて怖い。自分も自殺してしまいそう」「ニュースを見て死にたい気持ちが呼び起こされた」という相談が増え、自殺に関するメディア報道によって自殺を意識してしまうケースも多いことが分かりました。

上昇傾向なのは10代の若者と女性の貧困率。早急な対策が必要です

厚労省は会員制交流サイト(SNS)などによる相談対応を強化。新型コロナ特措法の付帯決議には「自殺対策を万全に講ずる」ことが記されており、相談しやすい環境づくりとともに孤独に陥らせない居場所づくりをはじめました。相談者の「死にたい」気持ちに寄り添い、生きる道を選ぶための支援が求められています。

また、WHO(世界保健機関)は、2017年に『自殺報道ガイドライン』で「やるべきではないこと」と「やるべきこと」を明記しており、政府もメディアに向けた注意喚起を行っています。そこには「自殺報道を目立たせず、過度な報道は避ける」「自殺手段を伝えない」「支援先の情報を載せる」などの注意書きがあります。メディアは自殺を減らす方向に働く自殺報道への道を模索すべきである。それと同時に女性たちを死に追い込まないよう現金給付など経済支援の拡充、職を失った非正規の人たちへの積極的な就労支援も早急に対応すべきでしょう。

まとめ

相談すれば直ちに解決するものではありませが、話すことによって問題との間に少しでも距離を取ることができます。冷静さを取り戻したり、一人で悩んでいた時には思いも付かないような解決策が浮かび上がったりすることもあるでしょう。

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この記事の執筆者
兼島剛
webメディア系の会社、コンサルティング会社に勤務後、現在はフリーランスのライターとして活動中。ライティングの際は現地取材を徹底して行うなど現場に密着した記事がウリ。得意ジャンルは政治経済、暮らし・ライフスタイル。特掃ジャーナルにも複数の記事を寄稿中。