日本は先進国中トップ?世界の自殺率ランキングのご紹介

自殺 世界ランキング

<最新統計>2019年の自殺率はどの国が高い?日本の順位は?

世界の自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)ランキング、1位はロシアの31人。2位は韓国の26.7人、3位がラトビアの21.2人と続きます。日本は18.5人で全体では7位にランクイン。全体でも上位ですがG7の中ではトップという残念な結果になりました。男女別にみると、我が国は男性が15番目、女性が4番目となっており、諸外国と比較しても我が国の女性の自殺死亡率の高さが目立っています。

主要国(G7)だけだと日本がトップに

先進国(G7)の自殺率について世界保機関によれば、日本が1位。フランス、米国、ドイツ、カナダ、英国、イタリアと続きます。また、若い世代(15~35歳)での死因第1位が自殺となっているのはG7では我が国だけとなっています。政府は2017年に自殺総合対策大綱を策定。自殺死亡率を2026年までに15年比で30%以上減少させることを目標とし、多くの若者が利用するインターネット交流サイト(SNS)での相談対応の強化などに取り組んでいます。

旧ソ連のロシア周辺国は自殺率が高い傾向に

東ヨーロッパで自殺率が高い原因は経済格差とアルコールを飲む習慣に端を発しています。東ヨーロッパの国々はひとり当たりのアルコール消費量ランキングでトップに君臨していて、ビールやワインではそのような結果にはならず、アルコール度数の多いウォッカを飲む人が多い国ほど自殺率が高くなる傾向になってます。

体制移行などのストレスも要因だと考えられます。旧ソ連のロシアが支配していた社会主義体制から、ソ連崩壊により自由主義経済に変わったことで所得格差が広がったことで人生を悲観する人が増加。もともと経済が苦しい上に飲酒が原因で体を壊し、仕事ができなくなったことにより経済的に困窮して自殺を選んでしまうという統計結果がでています。

2019年度の自殺率トップの隣国「韓国」と日本の共通点は?

韓国における自殺はOECD30ヶ国の中で最も高い割合であり、2002年以降の自殺率で日本を超えて以来、2019年までは、2017年にリトアニアに抜かれた以外は一貫してOECD加盟国中で最悪の自殺率となっています。

韓国と日本との共通点を考察するにあたってのキーワードは「儒教」です。まず自殺率の高い中高年男性については、1997年の通貨危機により力を持った企業側によって会社に忠誠を尽くし、サービス残業は当たり前の会社人間であることを強いられる点が挙げられる。そして、日本と同じように儒教的な「苦しいこともしっかり我慢する」や「責任を取って死ぬ」という思想も根付いている点が共通しています。

最近増加傾向にある若い世代や女性についても儒教特有の父権社会の影響がみられ、女性の社会進出に伴い若い女性の自殺が増加。学歴を重んじる背景から若年層の自殺率も高く、10~30代の死亡原因の第1位を占めるのが自殺という点が日本と共通しています。そして、韓国でも若い芸能人の自殺がしばしば報道で取り上げられていますが、他国と比べて自殺率が際立って高いのは高齢者。これは長らく社会保障整備が未熟だった点と高齢者の孤独が原因とされています。

韓国では今、少子化と相まって核家族化が一気に進み、結婚しない若者も増加しています。かつては若者として年配者の世話をしてきたのに自分たちが年配者になったら病気になっても相談相手も世話もしてもらえず孤立に陥っています。そういった事情も高齢者の自殺を増やす要因になっており、日本との共通点だといえるでしょう。

まとめ

「自殺」と言っても自ら積極的に命を絶っているのではなく、自殺の背景に潜む経済的な要因や自殺の危機経路からも分かるように、自殺は極めて社会的な問題となっています。例えば失業者であれば、仕事を失い生活のためにと借金を重ねるようになり、それが多重債務となる中で家族の関係が悪化、精神的にも追い詰められてうつ状態になって自殺で亡くなってしまうこともあります。

生活保護や自己破産などの選択肢もありますが、心身共に追い詰められた状況では冷静な判断ができなかったり、「そんなことになるのは恥だ」という先入観や周囲に迷惑をかけたくないという理由などで自殺に至ってしまう人もいるそうです。そこで、自殺をタブー視することなく、もっと社会的な問題としてみんなで考えていく必要があるのではないでしょうか。

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この記事の執筆者
兼島剛
webメディア系の会社、コンサルティング会社に勤務後、現在はフリーランスのライターとして活動中。ライティングの際は現地取材を徹底して行うなど現場に密着した記事がウリ。得意ジャンルは政治経済、暮らし・ライフスタイル。特掃ジャーナルにも複数の記事を寄稿中。